かわいらしさとは裏腹に性格は凶暴、国内に天敵なし…感染症媒介の危険も

深刻な農業被害などをもたらすため、外来生物法に基づく特定外来生物に指定されているアライグマの捕獲数が、三重県名張市で急増している。2019年度には97頭と、約10年で約10倍に増えた。国内には天敵がいないうえ、雑食性で繁殖力が強く、市内全域に生息域を広げているとみられている。(道津保)

市農林資源室によると、アライグマは北米原産で、成獣は尾を含め全長60~100センチ。国内では、ペットとして飼われていたものが逃げ出したり、捨てられたりしていくうちに野生化し繁殖。名張市では1992年、民家の天井裏で初めて保護された。
捕獲数は、2006~08年度が年2~8頭だったが、09年度には27頭に。18年度には87頭にもなった。夏場の捕獲が多く、今年度は8月までの5か月間で、50頭を超えた。
生息域が広がるにつれ、スイカやトウモロコシ、ブドウなど農作物の被害が増えた。また、家屋に侵入し、天井裏などで子育てするアライグマの排せつ物や悪臭の苦情も寄せられるようになった。

18年度の農業被害金額は、ニホンジカ(501万円)やイノシシ(490万円)ほどではないが、25万円に及ぶ。市は、防除実施計画を策定し捕獲を進めている。捕獲・運搬の許可証を約170人に発行しているほか、檻(おり)の貸し出しも続けている。
かつてはテレビアニメで人気者だったアライグマ。見た目のかわいらしさとは裏腹に性格は凶暴で、爪は鋭く、感染症を媒介する危険性もある。市農林資源室は「天井裏に入れないよう隙間をふさぐのも対策の一つ。餌になる野菜くずなどを放置しないよう気を付けてほしい」としている。

9/5(土) 7:36 読売新聞



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