米食うクマ 3日連続納屋通い 人と目が合い逃走、今秋はドングリ不作

10日午前5時半ごろ、富山県立山町目桑(めっか)で、クマの成獣1頭が納屋の中で米を食べているのを、近くに住む所有者の男性(63)が見つけ、町鳥獣被害対策実施隊員を通して町に通報した。今秋は山のドングリ類が不作のため、冬眠前に餌を求めてクマが人里に下りてくる可能性が高い。特に山裾の集落を中心に警戒が必要となり、県は「ツキノワグマ出没警報」を出して注意を呼び掛けている。 (井波光雄)

現場は家屋が点在する山間部の集落。発見当時、男性が所有する木造2階建ての納屋のシャッターは閉まっていた。米の乾燥機の排気のために壁に開けていた直径約40センチの穴から、クマが入り込んだとみられる。
男性は8日昼、納屋の1階で保管していた「くず米」入りの紙袋が破られ、動物に食べられているのを確認。そのまま置いていたところ、翌朝には食い散らかされた跡が広がっていた。

10日朝、壁の穴をふさいでいた板が外れているのに気付いた男性が窓の外から中を見ると、座って米を食べているクマと目が合った。その途端、クマは穴から外に逃げていった。男性は「こんなに大きなクマが中にいるとは思っておらず驚いた。山に餌がなかったのだろう」と話した。
通報を受けた町職員と町鳥獣被害対策実施隊員が現地を確認し、納屋の近くに捕獲用のおりを設置した。付近の住民には注意を呼び掛けた。

県によると、県内では今年、クマの出没件数が8月末時点で231件に上り、前年同期の1・7倍になっている。人身被害は4件5人で、記録のある2004年以降では同時期として最多だ。県は今月2日に緊急対策会議を開き「ツキノワグマ出没警報」を出した。

9/11(金) 14:40 北日本新聞
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